解放

私は11月23日に前の恋愛の呪縛から解放された。

 

今年の3月に別れた前の恋人に「元カノを忘れられない。元カノの方が良かった。筆者とは正反対の性格と外見でめちゃくちゃタイプの人だった。筆者の服の趣味が無理。」と別れ際に言われたことがあまりにもショックでトラウマとなっていた。

その呪縛を私は心の奥底に封印していた。そして、色々な解釈で自分の頭に理解させていた。

別れた直後はショックのあまり、何も食べれない、何もできないという日が続いたが、周囲の友人たちや、kemioのおかげでなんとか元の生活に戻ることができた。

 

何もできなかった時に、私は様々なことを考え、出た答えが「やっぱり愛が欲しいし、愛したい」だった。私が思う「愛」とは、自分や相手の心を素直に見て分かち合い、新しいナニカを生み出せることだ。もちろん、考えていることはこれだけではない。そう思った私は「私のことを素直に見てくれる人」という条件のもとで1ヶ月だけマッチングアプリをしようと思い、4月末に始めた。マッチングアプリのプロフィールは出来るだけ「私」という人間性を書き込んだ。すると、驚くほどいいねが来た。予想していたよりも来たので、全員のプロフィールを見るのは正直大変だったが、その中で1人だけ他の人とは違う人が居た。その違いが自分の勘違いなのではないかと思い、一度スルーしてみて他の人を見た後にもう一度見たのだが、明らかに違うのだった。自分のその直感に恐怖を抱きつつも、一歩踏み出してコミュニケーションを開始した。少し会話をしただけで「この人だ」と分かった。数週間やりとりをして、緊急事態宣言が解除された後に会ってみることになった。会ってみると更に人間性が分かった。何回か会った後に真剣な告白をされ、交際することになった。会う度に好きという気持ちが増し、私のことを本当に見てくれているということがわかった。そして、人を愛するというのはこういうことなんだということを初めて知った。交際してから3,4ヶ月ほど経った頃、私が封印していたモノがジワジワと意識の中に染み出してきた。

ふと、「この人は前の恋人とのことを自分の中で折り合いをつけられているのだろうか。まだ囚われているのではないだろうか。」ということが心に浮かんだ。

そのことを意識した瞬間、封印していた記憶や感情がどんどん溢れ出てきた。溢れ出てきた記憶や感情は妄想のタネとなり、妄想が広がってしまった。その妄想が現実にも侵食し始め、代用品にされているんじゃないかと思って一人で号泣した日もあった。そして、ついには恋人の前でも私の妄想が顕在化してしまった。このまま放置するのはさすがにマズいと思い、友人に相談したり文字に起こしたりすることで一旦妄想と現実の区別を付けることにした。その後、自分自身が落ち着いて客観視できる状態になってから恋人にこのことをどのように伝えるのかを考えた。しかし、ここ最近はお互い用事があり、ゆっくり話せる機会も無いと思ったため、いつ伝えようかと私は考えていた。そんな時に、今月の22日に恋人が「塀の中の美容室」という漫画を発見し、購読して様々なことを考えたそうだ。恋人が様々なことを考えているうちに、私の最近の様子がおかしい原因が思い浮かんだそうだ。それは、元カノという存在だった。彼自身、最近まで気づいていなかったことがあり、そのことに折り合いをつけることができたようだ。そのことは彼のブログに書いてある。電話を繋ぎっぱなしにしていた彼がそのブログを私に送ってきた。そのブログを読んだ私は、呪縛からだいぶ解放された。私が伝えたかったことが書かれていたのだ。

そして私は、彼に自分が伝えようとしていたことを彼のブログの内容を交えて簡潔に伝えた。お互いに用事があったため、本当に簡潔に伝えた。その日の夜に再度電話するまでに彼は、彼の友人と共に色々推論したようだ。そして、電話を開始した直後に「〇〇(私)に改めて言いたいことが2つある」と言ってきた。私は内心凄くドキドキしながら「なに?」と答えた。

彼が言ったのは、元カノに対しては何も思ってないし、今現れたとしても無理だということ、改めて私が好きだということだった。前者は私の妄想に彼が気づき、私が勘違いをしていると思ったため、私にはっきり伝えなければならないと思って伝えたそうだ。実際、本人の口からはっきり伝えられることで私は呪縛から完全に解放された。今まで前の恋人とのことは、消したい過去だと思ったり、前の恋人との出来事全てに対して憎悪の感情しかなかったのだが、ようやく一出来事として思えるようになった。そして、改めて告白されたことで、私自身も前に進めることができた。

 

その日の夜、夢を見た。天気の良い広大な野原で私が分厚い服のようなモノから脱皮している最中で、私の上半身がまる裸になっている夢だった。残念ながらアラームが鳴り、私の夢はそこで終わっているのだが、目覚めた時に自分が身も心も脱皮できていることが分かった。この感覚は漫画、「惡の華」の第56話〜僕らは願う者なのだ〜に描かれている、主人公が広大な草原でまる裸の状態で大きな惡の華を見つめ、登場人物それぞれの「これからの姿」を夢で見て、夢から覚めた主人公が筆を執るという状況に近い。

 

私は直感的に、私自身の思春期が終わったと感じた。そして、恋人とこれからの人生を共に過ごしたいと改めて思った。