南宗寺

今日は南宗寺で茶会があった。茶道部の部員と一緒に行き、私たちはスーツを着て行った。本当は着物を着たいが、着付けを自分でできないのでやめた。

 

南宗寺はとても広い。門をくぐり、墓地を抜けると小さな橋がある。そこをまっすぐ進んだところに茶会の会場はあった。部員と共に中へ入り、茶席についた。茶席は庭園の前の縁側で行われていた。釜が吊り下げられた状態になっており、リュート奏者も居た。9月頃の夜に車の中にあるラジオでリュートで弾いた曲を聴いたことがあり、その時から良い音色の楽器だと思っていたが、今日目の前で聴いてみても改めて良いなと感じた。

真ん中で白と薄緑に分かれているお菓子が運ばれてきた。菓子切りで切るとモチッとしていて切りづらかったがおいしかった。お茶もとてもおいしかった。

お点前が終わると茶道では茶器を客に見せる。この時、客は茶器を実際に手に取って拝見する。今回は色々な茶碗を手に取って見た。おそらく15種類くらいの茶碗を見たと思う。茶碗は青磁のもの、南蛮人と日本人が描かれているもの、蓮の花が描かれているもの、イギリス製や東南アジア製のものなどがあった。茶碗によっては大きいものやこじんまりとしたもの、見た目に反して軽いもの、側面がトゲトゲしていて変わっているものなど実際に手に触れてみてわかる楽しさがあるものもあった。

雨の中、リュートの音色を聴き、石庭とお点前を見ながらお茶を飲むのは幸せだった。最近こころが荒んでいた私だが、何も考えずにその場を楽しむということが自然にできていた。

棗の蓋は象牙でできているもので、手に取ると重かった。茶器を全て見終え、2つ隣の部屋でしていた茶席へと向かった。

もう一つの茶席は立礼だった。お点前が終わると、机に並んでいる茶器を拝見した。こちらの茶席では柄がシンプルな茶碗が多かった。シンプルだが、色がとても綺麗だった。光の加減によって銅色や青色に見える茶碗があり、部員の1人がとても気に入っていた。お盆が皮で出来ているというのに私はとても驚いた。皮でお盆が作れるのか…と。触ってみるとたしかに皮だった。

どうやら、今回の茶会は和洋折衷らしい。それが新鮮であったが何も違和感を感じさせないのが素晴らしいと思った。

 

たった1時間の茶会だったが、得られたものは大きかった。茶席という空間は現実ではあるものの、時の流れを感じさせない空間だと私はいつも思う。茶席に入る前は色々考え事をしていても、一度入ってしまえば全て忘れてしまう。そんな考え事など無かったかのように。

 

これからもたまには茶会に参加しようと思った。

 

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